深海棲艦とその後

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「うーん・・・?もう朝か・・・」 「おはよー、提督。マルハチマルマル、すっかり朝だよー。」 「ふふっ、北上、その時報も『提督』も、もう言わなくていいんだぞ?」 「そんなこと言ってもねー・・・癖ってものがさー・・・。」 深海棲艦との戦いを終えて制海権を奪還し数か月・・・。 在りし日の戦船(いくさぶね)の魂を持つ女の子、艦娘。 艤装と呼ばれるものを背負い、深海棲艦と戦った。 俺は深海棲艦に唯一反抗できる艦娘達を指揮する提督として鎮守府に着任し、長い戦いの末、暁の水平線に勝利を刻むことができた。 そして北上は秘書艦として鎮守府を運営し、重雷装巡洋艦として深海棲艦と戦った。 何度ともなく仲間を失い、新たな艦娘と出会い・・・。 待つ方が辛いか、待たせる方が辛いか・・・。 戦いに勝利し皆、任を解かれ、各々の生活に戻った。 学生生活に戻る者、社会に戻る者、海軍の人間として居残る者・・・。 北上は軍を去る俺についてきてくれた。 「私は身寄りがないしねー。よろしくねー、提督。」 若干二十歳の俺がなぜ提督になったのか・・・、なぜ軍をさることにしたのか・・・、誰にも話したことはない。
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