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「何でもできる人はそう言うって相場が決まってるんだよー。」
「炊事洗濯裁縫だけだぞ?ほらできたぞ。」
「ありがとねぇー。いただきまーす。」
ふーふーして味噌汁をすする。
いつもホケーっとしている顔がさらにほころぶ。
「あぁ~・・・提督の味噌汁はうまいねぇ~・・・。」
「なにも特別なことはしてないんだけどな。」
出汁も使わないで味噌を溶かしただけなのに・・・。
「これを飲むと帰るべき場所に帰れたんだなぁって思う訳よ。」
「帰るべき場所・・・か・・・。」
「どーしたの?」
「いや・・・。何でもない。少し昔を思い出しただけだ。」
苦々しい過去、拭えぬ痛み、悲しみ、憎しみ。
ふとした瞬間に思い出す・・・。どす黒いもやが俺の体を蝕んでいく。
「・・・・・・とくっ!てーとくってば!」
「・・・っ?!」
「なんか今日提督おかしいよ?なんかあったの?」
「いや、本当に何でもないんだ・・・。」
何でもないと言い聞かせ、感情を内側に押し込める。
そして苦し紛れな嘘をつく。
「今日は戦艦の奴らと会う約束をしているから、何を話そうか考えていたんだ。」
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