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元来、神に寿命などない。年齢も関係ない。老師とは先生の意。先生と言っても何か特別なことを教わったのではなく、文字通り、燿より先に神として生きていたということを示す。実際、胡座をかいている目の前の人物は、見た目だけで言えば燿とさして変わらない。名は健と言う。老師、もしくは健老師と呼んでいた。
「こんな朝早くとかどうなさったんですか?」
返事をするより早く、健は唇に人差し指を当て、スクッと立ち上がると部屋の四角の壁に御札を貼りつける。四神の御姿が描かれたものだ。それぞれの方角にそれに対応した獣神を貼り終え、ぶつぶつと呪を唱えると、刹那、火の灯っていなかった燭台に明かりが灯った。
老師が自らの力によって点けたのだ。同時にこの部屋に結界が張られ、一時的にではあるが、力が蘇ったことを意味する。
そもそもが燿たち神の持つ力は、人間たちに完全に剥奪されたわけではない。結界を破られたことにより弱体化し、人間の持つカンナの技術で抑え込まれているに過ぎない。
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