神無 ―カンナ―

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※  屹立するビル群の前で立ち尽くす。住んでいた屋敷なんかより遥かに高い建造物だ。見上げれば首が痛くなりそうな高さ。街は夜にも関わらず昼間のように明るい。ビルの壁に、眩いばかりの何かの映像が映し出されているし、どの建物にも赤や黄色の電飾が煌いている。  これをネオンと言うらしい。行き交うのは人間ばかり。服装も奇抜だ。ネオンに負けないくらい派手な色合いの服を着ている。下も袴ではない。ズボンと呼ばれるものだったりスカートと呼ばれるものだったり。白い肌、黒い肌、その中間色の肌。燿も人間界を覗いたことがある。地球に住む様々な地域の人間が住んでいるのが分かる。  人を乗せた乗り物が腰の高さに浮いたまま、甲高いキューンという音を立て、燿のすぐ横を通り過ぎて行った。
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