神無 ―カンナ―

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 四神を司る神を見つける。容易なことではない。既に命が尽きている可能性もあるし、見つけて結界が張ることが出来たとしても、まほろばを取り戻せる保証なんて一粒もない。  それでも、老師の一言が引っかかって無視することが出来ず、準備までしてこの地に立っている。  ――人間が神をまほろばから追い出そうとしている。神との共存に飽き、神々を消し去ろうとしている。  だからこそ老師は結界を張りたいと言う。万に一つでも神々が生き抜く可能性を見出したいと。  突飛な老師の言葉を全て鵜呑みにしたわけではないが、否定する材料も見つけられないでいた。  だから結界を張ったあの部屋でわずかばかり得られた力で調べ、燿はこの地に導かれた。求める神かは分からないが、カンナの力で抑えられても尚、力の強い神がこの街に潜んでいる。
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