神無 ―カンナ―

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 人間の支配下に置かれて200余年。長いものに巻かれ、人間の生活に溶け込んだ神も少なくない。基本的に神と人間の体の構造は瓜二つだ。神の中には人間に交わる者まで現れた。そして本来、決して生まれることのなかった生き物は"亜神(あじん)"と呼ばれるようになる。人間とも神もと違う生命体。見た目で区別のつかないはずの人間と神なのに、亜神は一目で分かってしまう、肌の色が違う。耳が尖っている。背が極端に低い。単一のもしくは複数の違いが浮き彫りになる。  奉公してくれている孝助は実は亜神だ。肌は濃い茶色。髪の毛も赤色。そして瞳の色は緑色をしている。  人間は自らと違う生き物のを厭う。神は子供を育てるという概念自体を持っていない。まさに無責任の産物。神と人間の身勝手なのに、亜神は一番弱い立場に立たされている。
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