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護民官の誘導するがままにマルリオン市街にある屯所へと向かう。
賑やかだったシーファン市場から少し離れ、下級貴族の邸宅が建ち並ぶルサリア区の門扉の程近くに護民官の本部があった。
マルリオン市街の治安、秩序を守る護民官本部は武骨ながらも立派な構えで、暴動が起きても十分に対処しうる兵営を備えている。
市街地の隅々に置かれている派出所にも常時五名の護民官が駐在していて、エリア毎の支部には二個小隊が常駐しており、平和なマルリオンにおいて少し大袈裟過ぎる程の体制が敷かれていた。
「じゃあ、マルリオン市街には一個大隊に匹敵する護民官が居る訳ですね?それは凄いな」
連れて行かれる道中、シーファン市街区長官と名乗った男にあれこれと質問しては閉口させている。
シュアンは乗せられた馬にあぐらをかいたまま、のん気に草笛を鳴らしていた。
長官は本部の門をくぐると同時にやれやれと大きな溜め息を吐き出した。
護民庁事務次官を名乗る官吏に引き渡された二人が案内されるままに通された部屋に入ると、中に居たのは意外な事に現影幌旅団長オルブライトだった。
「オルブライト!まさかあなたが迎えに来るとは思わなかったよ。クラトはどうしたの?」
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