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「私の出番はあるのじゃろうな?その混成部隊には私の部隊も参加するぞ。この目で確かめてやる」
ユリアンの煩悶を断ち切るかのように、シュアンは語気を強めてオルブライトに詰め寄った。
その瞳は爛々と輝き、まるで戦を楽しんで居るようにも見える。
「もちろん、その為にシュアン殿下もお迎えにあがったのです。前線はともかくとして、イシュルトを襲った部隊と同じかどうか判別していただかなくては」
では参りましょう、と言ってオルブライトの用意した馬に乗り、リヨンの丘をマルリオン宮殿へと疾駆して行った。
夜も随分と更け通常ならば灯も少なくなる時間だが、非常時ともなれば煌々と松明が燃やされて慌ただしく伝令が走り回る様子が見て取れる。
既にユリアン達が戻るとの先触れが行っていたので、門衛も誰何する事無くオルブライトに会釈だけして通してくれた。
案内されるままに通された軍議の間の扉の前で一旦止められ、ユリアン達の到着を告げられる。
扉を開かれて部屋に通されると、諸侯の視線が一斉に集まり一瞬冷たい空気が流れたが、ルルシュ公アリオンが一つ咳払いをして口を開いた。
「まさかバルコニーから抜け出すとは思いもせなんだが、この数日事情も知らせず軟禁に等しい状態で捨て置いた非礼を考えれば、今回の脱走は多目に見よう。しかし、タイミングが悪うござったな」
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