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小さくコクコクと頷くのを確認すると、アリオンは続ける。
「これはクラトと話して私が公爵代理としての権限で決めた事だ。この一件で養子後継問題にも終止符を打つ事にする」
居並ぶ諸卿がざわめいた。アリオンはそれへ手のひらをかざし、静まるのを待つ。
「ただし、ユリアン殿は相応の器量を示して頂かねばならぬ。万一出来ぬ場合、養子縁組みは認めるが一切の後継者としての権利、一切の請求権を放棄して頂くがそれで良いか?」
アリオン候の力強い射眼を受け止め、ユリアンは少し青ざめながらもコクリと頷いた。
クラトの心配そうな瞳にも、ぎこちない微笑みで応える。
アリオンはその様子をしっかりと見据え、内心の伺い知れぬなんとも言えない表情をした。
未だざわめきの収まらぬ諸卿をおいて、話を進める。
「非常時ゆえあまり悠長に出来ぬ。ではこれよりそなたに臨時ではあるがマルリオン軍指令の任を与え、マール公騎士団と影幌旅団、マルリオン護民兵の指揮権を付与する。近くに寄りなさい」
緊張の面もちで前に進み出るユリアンの肩に、アリオンは用意されていた肩章を捧げ持って来た小姓から受け取って着けてやった。
「では準備が整い次第、ナヴァール伯と共にウルカンへ向かえ!」
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