第1章

4/4
前へ
/4ページ
次へ
「火事だ」  目を開けると、ドアは横へと滑っていった。  そこには驚いたような顔があり、それはすぐに少し困ったような笑顔に変わった。そして軽く会釈をしたかと思うと、うつむき加減に階段を駆け下りていった。  癖のある髪の毛  しわの寄ったシャツ  チョークの粉で染まったズボン  草場稔。変わり者と名高い、うわさのクラスメートである。  英単語テストの再テストだったんだろうな。  思わずほおが緩んだそのままで、改めてドアを横へ開いた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加