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敦子は、ひとりになった家の中を見まわした。
家の中はがらんとしていた。
突然に両親はいなくなった。
交通事故だった。
葬式がおわると祖母が一緒に住もうといったが、敦子は大学受験を理由にそれを断った。
ひとりで家に戻った。
そして、本当にひとりになった。
不思議とさびしいという思いは、わかなかった。
ただ、体から力がぬけた感じだった。何かが抜けおちたようだった。
敦子は部屋の中を見まわした。
そして、部屋のすみに着物を着た子供がたっているのに気がついた。
おかっぱ頭に紺色の麻の着物を着ていた。
敦子は、驚いてそれを見つめた。
だが、不思議と怖くはなかった。
「やっぱり、いたのね」
敦子は、それに声をかけた。
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