あーちゃん だいすき

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 その日は、夕方から急に雨が降り出した。  敦子は、学校にかさを持ってきてなかった。  高校の玄関で敦子はどうしようもなく空を見上げていた。  雨はどんどん降り続き、強くなっていく。  同級生たちの中にも、かさを持ってきていない子がいた。  いっしょに高校の玄関で雨がやむのを待っていた。  しかし、ひとりひとりと、家の車が迎えにきて帰っていく。  最後は敦子がひとりになった。  敦子の家に電話をかけても、もう誰もいない。  走って近くのコンビニに行けば、かさが売っているかもしれない。  でも、敦子はどうしても走りだせなかった。  敦子は、雨の中を歩きだした。  ただ、ずぶ濡れになりながら家に向かっていった。
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