あーちゃん だいすき

8/12
前へ
/12ページ
次へ
 どのくらい時間がたったのだろう。  敦子は目をさました。  まわりは真っ暗だった。  頭がひどく痛んだ。  額に手をやると、ものすごい熱だった。  もう起きることもできなかった。  気がつくと、それがそばに立っていた。  おかっぱ頭に紺色の麻の着物を着た子ども。  細い目でじっと敦子を見ていた。 「あーちゃん。だいすき」  それは、敦子の携帯電話を持っていた。 「あーちゃん。だいすき」  それは、敦子の携帯電話を耳にあてた。 「ダメ」敦子はこころの中で叫んでいた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加