あーちゃん だいすき

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あーちゃん だいすき

 単身赴任になったお父さんが、車に乗りこもうとしていた。  敦子(あつこ)は、黙ってそれをみていた。  見送りにでた敦子を、お母さんが抱きしめてくれた。  お母さんも、引っ越しの手伝いについていくのだ。 「あーちゃん。ひとりで、大丈夫?」  敦子は、笑顔をつくってうなずいた。 「そっ」  敦子は、そのときの母の笑顔を忘れない。  なんだか、とてもさびしい笑顔だった。  大学受験をひかえた敦子は、ひとりで留守番をすることになった。  お父さんが手をふると、車を発進させた。  お母さんも手をふっていた。  それが両親をみた最後になった。
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