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~黎海高校~男子トイレ 一日のたるい授業から無事生還したキョウスケを待っていたのは掃除時間という戦場だった。 皆それぞれの掃除場所を分担で決め一週間ごとに交代になるのだが、今週は不運にもキョウスケ達がトイレ掃除という籤(くじ)を引いてしまったのだった。 「おいおい、マジかよ~。 ツイてねえな。ったく。」 トイレの床タイルの上に敷かれた簀の子に立つキョウスケが、頭を掻きながら今から対峙する便所のフロアに向かって溜め息を吐くように言った。 しかもこの場にいるのはキョウスケのみ、残りの2人は何故かこの日に限り欠席、トイレ逃れ的行為を露にした犯行だった。 だが、そんなキョウスケもこの掃除を投げ捨てる訳にはいかなかった。 何故なら、『トイレ掃除をサボった者トイレを使用する可からず』という恐ろしいルールが存在するからだった。 「チクショウ!掃除するしかないじゃないか! いいよ、やってやるさ! 身も心も磨いてやるよ! 擦り減るまで掃除してやるさコンチクショウ!」 そうしてキョウスケの爆発的トイレ内戦争が勃発した。 手に取ったデッキブラシを振り回し、ながしに置いてあった洗剤を残らず振り撒いた。 男子トイレからはいつの間にか雄叫びが溢れ、周りの生徒達をビクつかせる。 そんなキョウスケのガンバリの産物は泡だらけのトイレだった。 フロア一面泡。天井も泡。個室も泡。 まるで雲の上のような感覚にキョウスケは酔いしれていたが、すぐ現実に気付いた。 掃除時間にはタイムリミットが存在し、それまでに掃除が終わらなかった場合敗北を意味する。 『掃除に敗北した者掃除場所を使用する可からず』というルールが存在するのだ。 キョウスケの場合トイレ禁止だが、廊下掃除の場合は廊下禁止という鬼のようなルールだ。 それだけは避けなければならない。 しかし、目の前は泡。 目の後ろも泡だ。 困り果てたキョウスケにトイレの入口から声が聞こえた。 「キョウスケ君!困ってる見たいですね~ これ使って下さいよ~。」 入口にいた雫が渡したのはバズーカ型水鉄砲。 威力は雫のお墨付きだ。 躊躇する余裕もなくキョウスケは発射する。 「必・殺っ……!?」 大量の水はトイレから溢れ出して廊下へ進出し、キョウスケのトイレ禁止は確定。 その頃隣の女子トイレでは雫がガッツポーズをして微笑んでいた。     -完-
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