第二章

3/8

182人が本棚に入れています
本棚に追加
/245ページ
「ていうか、俺別に美智子ちゃんのパパがプリキュア見てるのがまるで悟がアイカ……」 「やだなぁ!!もぉ!時雨様ったらぁ!はい!どうぞ!このサンドバッグ悟をいくらでも殴ってくださいまし!いや!むしろ殴れ!いやぁぁぁー!」 耳を塞ぎ、勢いよく頭を机に何度も頭突きを繰り返す 痛い、痛いけどこのなんとも言えない羞恥心がよみがえる。 そう、あれは三年前のこと…… 中学三年生、そう、あれは若気の至りだったんだ。 ちょっと言葉の使い方色々間違ってるんだけど 朝、なぜか目の前には時雨くん。 なんで今日に限って……つかどうやって入ったんだ! あきれ果てた視線で俺の寝ていたシーツを見ていた。 『まさか。その年でおね、』 「人の話を聞け。」 ぐいっ、と襟を捕まれて、パンッと乾いた音。 視界がぶれて、左側の頬っぺたが熱くなる。 「ひどい!親にもぶたれたことないのに!セカンド平手打ちを奪いやがって!責任とりなさいよ!」 ぎゅっと頬を両手で押さえてうずくまる。 痛い。これは痛い。 やばい、やっべぇよ!って言いたくなるくらい痛い。 「え。じゃあタイいく?たぶんあそこならおっけーだから」 どの責任ととらえたのか時雨くん。 なんだよ、そういう責任は刺されそうな女の人とするべきなんだよ! 「なんの話をしているんだ時雨くん。そして痛い。俺泣いちゃう。泣いちゃいそうだよ……うぅっ……」 「男だろ悟。泣くんじゃねぇよ」 「あんた鬼畜!……って、え?」 突然目の前には近すぎる時雨くんの美しいお顔。 いまいち状況を把握できない俺は呆然と目を見開いているしかできなかった。 「ね、悟?今日は一緒に帰ろうね?」 有無を言わせないように、にっこりと笑う時雨くん。 俺はふとあの光景を頭によぎらせた。 すれ違う俺と、二人。 呼吸困難になって、その場をしゃがみこんだあの時。 胸を強く握りしめられるような痛み。 手が震えて、じっと時雨くんを見つめた。 「……や、破るなよ。」 破られると覚悟すべきなのだろうか。 「お詫びだっつーの。」 照れ臭そうに笑い、膨れっ面になった俺の頬を捕まれてぶーと潰される。 変な顔、と言いながら笑う時雨くん。 お前のせいだわぼけ。
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加