第二章

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はは……人間なんてやっぱり信じられねぇ…… この世は嘘ばっかりだぜ。 へっ、世知辛いね。 もうとっくに放課後という時間を過ぎた午後五時半。 部活によっては帰っている人もいるこの時間帯。 俺は二時間待ち続けた。 若干涙目になっている俺。 てか絶対泣く。泣いてやる。 もういっそのこと泣きわめいてやる! 下駄箱で永遠と来るはずもない富岡時雨を待ち続けるあわれな男さとるんはもう絶望という深い闇の感情を抱いている。 この思いだけなら世界征服しちゃうさとるん。 たぶん俺よりイケメンな男を全員殺して消去法で俺がイケメンとなって女の子にモッテモテーみたいなバカみたいな妄想して自己保身してしまうくらい俺の精神は爪先立ちなみに安定していない。 なんなのだ。あいつは…… ほんとに絶交してやろうか? ははっ、あいつが俺と絶交したくらいで傷つくようなたまじゃないけど。 どうでもいいんだろうな。 あいつにとって俺は。 すごく舞い上がってしまった俺がバカみたいじゃないか。 はは……なんかもういい。 なんも期待したくない。 どうせ裏切られるんだ。 はは、ふざけるな。 なんなんだよ時雨くん。 なんなんだ!なにがしたいんだろうか! 破るなら、一緒に帰れないのならばそもそも約束なんかしなけりゃいいだろ! ……ていうかどうやって帰ったんだよ。 俺は急ぎ足で結構早めに昇降口に来たが時雨くんを見かけなかった。 まさか、学校内でなにかあったのだろうか? まさか!あの時雨くん、 俺を平手打ちしてKO勝ちした強者だぞ? 断じて俺が雑魚いんじゃない! 時雨くんが強すぎなのだ! もはやチートだ。 あの平手打ちやばい。 死にそうになったもん。 ……でも、もしかしたら。 「どうしたの?」 ……俺は驚いて、とんでもなくアホな顔をしている。 黒髪ぱっつん、大きな瞳。 小さくてかわいらしい鼻と臼桃色のふっくらした唇。 小さくて色白い顔にとってもきれいに整った顔。 にっこりと口の端を上げて笑うだけで 思わず見惚れるくらい可愛い…… 「さ、さつきさん」 五月美玲…… この間。 時雨くんが俺との約束をすっぽかして 一緒に帰った人。
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