第一章

3/10

182人が本棚に入れています
本棚に追加
/245ページ
「いや、成敗!とか言ってたから一発殴って俺に逆らうみたいなバカでおろかな行動を止めてあげようと思ったけど、案外賢いんだね。ご褒美に殴ってあげるから歯を食いしばれ。」 「ひいっ!どっちにしたって殴られるのかよ!ごめんなさい!お助けえぇ!」 「本当雑魚だよね悟って、雑魚は雑魚らしく踏まれて死ね。」 「俺はクリボーじゃないかんな!ていうか幼なじみに対して死ねとか言ってはいけません!」 いや、幼なじみ以外にも言ってはいけないのだが…… この見栄麗しゅう見た目に反して発せられる毒が強烈な青年、富岡時雨くんは フツメン代表前田悟と幼稚園児からの付き合いの幼なじみなのだ。 それなのに死ねとかー、ちょぉー!ひっどぉいー! 「え?幼なじみ?え、どこどこ?」 回りをキョロキョロと見渡す時雨くん。 「いやここ、ここ、」 自分に指を指してそう言うが時雨くんは『どこー?』とうろちょろしてた。 この家にはお前と俺とお母さんしかいないんですけど わざとやってますよね? まさか、お母さんと幼なじみとか言わないよね? 俺、信じてるよ。時雨君と俺の絆、あるって信じてるよ!? 「え。みえなーい。悟邪魔どいてくれまへん?」 「なにそのますきにーみたいな口調!お前平成生まれの東京育ちだろ!」 「うるさい黙れ田舎者。」 「なんだと!きぃーっ!生まれたのがちょっと自然な場所だっただけですぅー!育ったのは東京だしー!」 「はいはい、そうだね。で?どこー?まさかエアー?やめてよ悟じゃあるまいし」 「いや俺だろうが!てかなに悟じゃあるまいしってなに?俺はエアーな幼なじみがいるとでも!?偏見だ!」 「え、ちょ、冗談やめろって悟さん、俺とお前は他人同士だって、いい加減空想の世界から抜け出せよ警察呼ぶぞ」 「他人同士なら家に来たりしませんけどぉぉ!?」 「はっ、俺が無理矢理連れ込まれたとでも言えば丸々とおさまっちまうんだよ。」 「ど、どす黒い……いや!そんなことできない!俺には証言者がいる!そう!俺のお母さん!」 「はっ、バカめ。お前の母さん単身赴任じゃん」 「あっそうだった!てへっ!ってお前ええぇぇぇ!」
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加