第一章

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「は?お前?お前にお前って呼ばれる筋合いねぇよ」 不機嫌そうに顔を歪める時雨くん。 怒っててもかっこいい。 もうなにもかもどうでもよくなるよね、これぞフェイスマジック。 「時雨くんだってお前って呼んだ」 「お前と俺の格が違うのわからない?このモブ!」 「最低!自分がイケメンだからっていっていいことと悪いことくらいあるんだからね!」 時雨くんは何度も言うけどかっこいい。 あのね、めっちゃかっこいい。 コーヒーみたいな濃いめの茶髪でふわふわの天然パーマで 祖父が外国人でクォーターとかなんとかでコバルトブルーな瞳が大きくて宝石みたいに綺麗で 肌荒れの三文字を知らないかのような真っ白いすべすべな肌。 ゆるりとした形のいい唇と鼻筋がスッキリとした彫りの濃い顔立ちで、 いや、へんにゴッテゴテではないんだけど、 なんかハーフぽい日本人男児みたいで、いわゆる醤油顔というのだろうか? まぁ、そんな感じで体型もすごい。 もうモデルでやってけるよ!ってくらい背が高くて腰とか細い。でもなよなよしている感じじゃなくてほどよく筋肉もついていてスタイルもいい。 まぁ、わかるよ? これくらいかっこよければ俺みたいなしおしおしい俺の顔なんか、黒髪黒目の真新しさの欠片もない中肉中背体型の俺なんか! 俺なんかぁぁぁ! 「イケメンはなんでも許されるんだよ。」 フッ、と鼻で笑う時雨くん。 「きぃぃぃーっ!性格悪いくせに!」 「そんなところもステキ!って女子は言うからなー」 「ただし、イケメンに限る。」 「ほんと、顔がいいと得だよねー」 「いや、お前たちは人間の内側という美学を忘れているのだ!そんな生き物だ!」 「負け惜しみとかやめてよ笑ってへそで茶が沸かせちゃうって!」 「ああ言えばこう言う!」 「言われなくても俺は選びたい放題だからね。綺麗で性格がよくて都合のいい女なんていくらでも手に入れられるよ?ほんと、フツメンって損だよなー」 この男最低!騙されてますよ! 「むっかつくーー!お前のどこがいいんだ!」 そう言うと時雨くんはじっと俺を見てきょとんと首を傾げた。 「顔?あと頭もいいし」 「それ自分で言うか。」 「運動神経もいいし。」 ツッコミをいれたのにスルーされた。 ちょっと悲しくなったぞ。 とついでに思ったことがある。 「あ、そうだよ。なんでお前部活入んないの?」 中学では入ってたのに。
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