宇宙人心理

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 人間として必要な感情がそぎ落とされる。本来なら、人は危機感を抱いたり、悲しさ、空しさを感じるものだが、もうすでにそれらの感情は不要と判断され感じなくなっていた。  無表情で相手をひたすらに不快にさせず、機械的に過ごす毎日。それらが、生きていく上で一番必要だと人類は感じているのかもしれない。  このままの状態で向かえば、いずれ種として滅びるかもしれない。事実、エム星人の星も同じだった。皆が感情というのを無くし、当たり障り無く生きている社会は機械的で使えなくなった部品(人)から次々と淘汰されていく。機械の部品ならば、交換すればいいが人はそうはいかない。いつか、必ず壊滅するだろう。そして、その時が訪れても特に何かを思うということはない。そう言うことを考えることすら不要となっていったのだから。 「残念だけど、地球人も私達と同じ運命を辿るらしい。どこかで、過ちに気付いて留まってほしいのものだが、恐らく無理だろう。これで、この宇宙からまた一つ素晴らしい星が消えてしまうのか」  エム星人は残念そうに望遠鏡から遠ざかる地球を眺めるのであった。
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