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教えてくれたのは、ひとまわり年の離れた異母兄である織志維哲(オリシイサト)だ。
あまり記憶がないほど叶多が小さい頃、維哲は八掟の家で一緒に暮らしていたけれど、いろんな経緯があっていまは別のところに独りで暮らしている。
維哲は叶多のことをいつも気にかけていて、たびたび連絡をしては近況を報告させる。
戒斗と約束をしたのは五年まえ。
十三歳という、まるっきり子供だった叶多の想いを、まもなく十九歳になる戒斗は所詮、子供の気まぐれだと高を括っていたんだろうか。
三年後、待っていることに耐えられなくなって維哲に戒斗のことを打ち明けた。
『へぇ、あいつがそう云ったのか』
電話越しの維哲の声からは、おもしろがっている様子が窺えた。
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