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この頼も考えてみれば普通じゃない。
高校三年生の叶多より三つ年下で、今年度は青南(セイナン)学院の中等部最上級生だ。
維哲が云うには、有吏家において特別な教育を受けているらしい。
へんに物知りで、悟りをひらいたように大人びていて、そのせいか、いつも叶多のことをばかにした目で見る。
よって話がまったく合わない。
母、千里(チサト)はすべてを知っているのかどうか――
いや、知らないことはないだろう。
有吏家は分家にとって絶対で、逆らうことができないという。
戒斗はその有吏家の次男だから、戒斗が若輩であっても哲は命に背くことをしないのだ。
でも、そんなのはどうだっていい。
あたしは戒斗に会いたい。
お喋りがしたい。
だれに向けているかわからない眼差しも声もいらない。
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