第1話 Find up

9/37
前へ
/407ページ
次へ
この頼も考えてみれば普通じゃない。 高校三年生の叶多より三つ年下で、今年度は青南(セイナン)学院の中等部最上級生だ。 維哲が云うには、有吏家において特別な教育を受けているらしい。 へんに物知りで、悟りをひらいたように大人びていて、そのせいか、いつも叶多のことをばかにした目で見る。 よって話がまったく合わない。 母、千里(チサト)はすべてを知っているのかどうか―― いや、知らないことはないだろう。 有吏家は分家にとって絶対で、逆らうことができないという。 戒斗はその有吏家の次男だから、戒斗が若輩であっても哲は命に背くことをしないのだ。 でも、そんなのはどうだっていい。 あたしは戒斗に会いたい。 お喋りがしたい。 だれに向けているかわからない眼差しも声もいらない。
/407ページ

最初のコメントを投稿しよう!

984人が本棚に入れています
本棚に追加