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「無理だ」
つれなく答えられると、叶多の瞳が潤んで揺れる。
「昨日、云ったようにあたしは待たないから――」
「待たないでどうする?」
「……」
叶多はくちびるを咬んで涙を抑えこむと、どうやったら動じない戒斗に報復できるのか方法を探った。
思いついたのは一つだけだ。
「抱っこしてもらう!」
叶多はいきなり戒斗の腕に飛びこんだ。
戒斗がハハッと笑いだす。
「やたらと抱きつく癖、直ってない。やっぱ、早まったな」
戒斗はその後悔を示す言葉とは裏腹に、腕をまわしてふんわりと叶多をくるんだ。
「戒斗のハグ、大好き」
戒斗が大きくため息をついた。
「おまえ、狼に遭遇したことないだろ」
Will be continued in the next time.
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