第3話 Crybaby

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電話していいと云った――のではなく、迷う必要ないだろう、と云われて電話をかけるものの、戒斗が電話をとるのは数えるほど。 おそらく半分もない。 叶多はとりあえず扇風機で暑さをしのぎ、床に座りこんでベッドに寄りかかった。 ようやくクーラーがきいてきて汗が引き始めた頃、叶多は携帯電話を開いて番号を呼びだす。 七回のコールで通じた。 コールは長くても十回までと決めている。 通じたとたんに、わさわさとした人の気配と楽器の雑音が聞こえた。 「戒斗、仕事中? 音が聞こえてる」 『明日のリハーサルやってるけど、いまはちょうど休憩時間だ。スタッフが音の調整をしてる』 「順調?」 『当然』 「戒斗、えっと……あさってはこっちに帰ってくるって云ってたよね?」 『ああ』 「……会いたい」
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