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叶多はそれまでずっと、普通に近いちょっと裕福な家庭に育っていると思っていた。
どの程度の地位にいるのかは知らないけれど、哲は法務省で働いている。
思えば、外で仕事を終えて帰ってきた哲を訪ね、普通というよりは異常に客の出入りが激しい。
公務員は時間外で働くほど仕事熱心なのだろうか。
いや、そうであっても、国の一大事ならともかく、家を訪ねてまでというのはしっくりこない。
ということは、哲は何か別のことをやっている?
そのたびに叶多は二階の部屋へと追いだされる。
弟の頼(ライ)は、最近になって同席することもあるのに。
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