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ふと、前に目をやる。
さっき僕を追い抜いて行ったランドセルや、黄色い帽子がたくさん、見えた。
色とりどりのランドセル、背が高かったり低かったり、髪がながかったり短かったり、色白だったり焼けていたり……
その中に、多分恋とは知らなかったけれど、気になる女の子がいた。
タンポポ色の髪止めをつけた彼女が、クラスで一番人気の男の子と、仲良く手を繋いで歩いていたのを見てしまったのだ。
タンポポがその時いきなり咲かないのと同じように、僕が空や地面に目を、心をやっていたのは、多分わかっていたからなんだ。
僕は特別じゃない。
朝日の中で、たくさんの子供が笑っていたと思う。
彼女も男の子も笑顔だったから。
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