9.

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『ちがうちがう。』 こんな状況で辞めたらそういう人間として人の記憶に残る。それを避けたいだけだと蒼井に伝える。 『それに今のタイミングで辞めたら、女将のいじめが原因みたいになるやろ?』 『でも、それが原因でもあるじゃないですかっ??合ってますよ!そう言ってやりましょうよ!』 蒼井の湯気は天高くのぼる。 『でも最後はどちらにせよ記憶から消えるよ?』 武石が小声で入ってきた。 『ふっ・・って意識がなくなるまで居てみようかと思ってねー。』 美帆子は片手を小さく振ってその場を離れる。 『ほんまに、江沢さんは。』 『自由な子供やなぁ。』 武石はため息をつきながら、いつも美帆子が見ている海へと視線をやった。
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