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美帆子は義姉の栄子がいるリビングへ移動した。手には買ってきた簡単な化粧品一式。
『みほちゃん、ありがとう。慌ててたから何も持たずに来てしまってね。この歳になると何もしないのは肌が嫌がるのよね。』
栄子の疲れた表情に少し元気が戻る。
こういう気の回し方が出来るのは國見が最も美帆子を認めるところで、それがゆえにどんな美人に好かれても美帆子を手放さなかった。
『姉さん、家は大丈夫なん?』
栄子の家は夫の自営で不動産業を営んでいる。栄子の不在は商売に差し支えていると感じた美帆子はそれを気にしている様子。
『店番はパートさんがいるから大丈夫よ。家事も息子達がちゃんとやってくれてるだろうから。』
美帆子と栄子は約1年ぶりに会った。つもる話しもあったし女同士の会話は疲れていても尽きない。
『ねぇ、みほちゃん。』
『ん?』
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