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『仕事を辞められないかな。』
『どしたん、急に。』
美帆子はあえて笑顔で聞いてみるが栄子は真剣そのものといった様子。
『できればこのタイミングでうちに入ってほしいなと思って。父さんもあんなだし、私もいつかは東京へ帰らないといけないし。』
一度お嫁に出たなら嫁いだ先が家になり、元いた実家より大切な居場所となる。
その家にまた誰かが入りそこが居場所になる。出たり入ったりするのが家なんだなと思いながら美帆子は返事をした。
『そのつもり。ただ、今はまだそれが出来ないから困ってる。』
その責任感を感じれば感じるほど、栄子はこの人にこそ家を守ってもらえると確信している。
『大好きよ、みほちゃん。』
そう言って栄子は目を閉じた。
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