彩子side-end

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都心を少し離れた駅に降り立つと、彩子はすっかり眠ってしまったえみりを抱いたまま改札を出た。 起きてる時よりも、グッと重みの増しているえみりは、すっかり安心しきって彩子に体を預けている。 あともう少しとエレベーターに乗り込むと16階のボタンを押した。 駅からすぐのまだそれほど古くない建物は、セキュリティもしっかりしていて彩子は気に入っていた。 起こさないように気をつけながら、えみりの体を抱え直すと、彩子は部屋の鍵を鞄から取り出しドアを開ける。 えみりの小さな靴を脱がし、自身もライトグレーのパンプスを脱ぎ捨てると、入ってすぐにある寝室へと向かった。 大きなベッドはダブルサイズ。 えみりと二人で寝るには充分すぎる大きさだ。 そこにそっとえみりを横たわらせてから、来ていた洋服を脱がせてパジャマに着替えさせた。 女の子らしくピンクが大好きなえみりは、身に付けるものもピンクが多い。 このパジャマも可愛らしいピンクのハートがあしらわれたもので、えみり自身が選んだものだ。 よほど疲れたのか、少し身じろいだものの起きる様子はない。 毛布と布団をかけてから、そっと顔にかかった髪の毛をよけそのまま優しく髪を撫でた。 無邪気な寝顔は、彩子がもっとも幸せを感じる瞬間でもある。
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