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「……どうした?」
中二の夏。
ひとり、部屋で泣いていたら背中に軽い衝撃。
気がついたら幼馴染みのシュウが、背中合わせに座っていた。
「……ソックスが、……死んだ」
……ソックス、っていうのは飼っていた猫だ。
真っ黒なのに手足の先だけが靴下履いたみたいに白くて。
だからソックス。
小さいころから一緒で、姉妹みたいに育ってきた。
「……そっか」
そっとシュウの手がふれて、私の手を握ってくれる。
ますます泣き出してしまった私に、シュウはなにも云わない。
……あったかい、シュウの背中。
いつもその背中に安心する。
「なあ。
いつまでもユカがめそめそしてたら、ソックスは安心して天国にいけないぞ?」
「……うん」
次第に、落ち着いていく涙。
私が泣きやむと、ゆっくりとシュウが離れる。
「泣きやんだな」
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