25人が本棚に入れています
本棚に追加
思わず口から出かけた言葉を飲み込んだ。
……きっとこれは。
いま、淋しいから縋りたいだけ。
泣き続ける私に、シュウは黙って手を握ってる。
安心する、あったかいシュウの背中に、次第に涙は止まっていく。
「……泣きやんだな」
「……ありがとう、シュウ」
笑って見上げると、シュウはあたまをぽんぽんしてくれた。
いつも、そう。
それが一番、嬉しい。
三十四歳の春。
呆然と座っていた私の背中に、軽い衝撃。
「……泣いて、いいんだぞ」
背中合わせに座るシュウに、涙が次々にこぼれ出す。
「……突然、だったもんな」
「……うん」
事故で夫に先立たれた。
娘のためにもしっかりしなきゃ、そう思うんだけど、突然のことでどうしていいのかわからない。
最初のコメントを投稿しよう!