背中

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思わず口から出かけた言葉を飲み込んだ。 ……きっとこれは。 いま、淋しいから縋りたいだけ。 泣き続ける私に、シュウは黙って手を握ってる。 安心する、あったかいシュウの背中に、次第に涙は止まっていく。 「……泣きやんだな」 「……ありがとう、シュウ」 笑って見上げると、シュウはあたまをぽんぽんしてくれた。 いつも、そう。 それが一番、嬉しい。   三十四歳の春。 呆然と座っていた私の背中に、軽い衝撃。 「……泣いて、いいんだぞ」 背中合わせに座るシュウに、涙が次々にこぼれ出す。 「……突然、だったもんな」 「……うん」 事故で夫に先立たれた。 娘のためにもしっかりしなきゃ、そう思うんだけど、突然のことでどうしていいのかわからない。
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