第2章 地下格闘家Sさん

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そして、試合当日。 会場は、見るからにアウトローとわかる墨を入れた人たちで溢れかえっていた。 そして、Sさんの試合。 たくさんの仲間たちと共に、気合い十分のSさんが入場してきた。 すると、会場のアナウンス。 「〓〓選手は計量オーバーでしたけれど、S選手が了承したため、予定通り試合を行います。」 きっとSさんは怒りに震えたことだろう。 Sさんは、左の肋骨に一発もらえば終わってしまうかもしれない状態。 それでも逃げずに、きっちり仕上げてきていた。 「Sさんの漢っぷり、見に行きますからね。」 「頑張ります!」 試合の前日も来店してくれ、最後の別れ際に言葉を交わした時に見せたSさんの真剣な眼差し。 あり得ないほどの計量オーバー。 いくらプロじゃないからって、あまりにも勝負をナメている対戦相手に、私でさえ怒りをおぼえた。
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