第1章 愛すべきキャラクターのKさん

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「おう!今、いけるか!」 「おう!今、忙しいか!」 店の電話に出ると、開口一番に、いつもこう言ってくるKさん。 だからと言って、ヤカラではない。 最初は、どんなヤカラが来るんだろうと思っていた。 「いらっしゃいませ!」 ライオンのたてがみのような髪型、爬虫類の皮の柄の雪駄。 色黒で眼光は鋭い。 背丈はそんなに高くない。 でも、なんとなく回りを威圧するオーラをはなっている。 雪駄を脱ぎ、椅子にドカッと座った。 私たちも、一瞬身構えた。 「ご予約のお客様でしょうか?」 対応したスタッフを、皆で心配していた次の瞬間。 「予約していたKです~!お願いしま~す!」 急にニコッとして、頭をペコッと下げた。 先程の、回りを威圧するオーラからの変わりように、心配していたスタッフたちも、思わず微笑んだ。 そして、また眼光鋭く回りを見回す。 「コースは60分で間違いないでしょうか?」 「はい~!お願いしま~す!」 また、ニコッとして、頭をペコッと下げた。 そのやりとりを聞いていた回りのスタッフは、もう、微笑みどころの笑いですまなくなった。
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