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そして、Sさんは後日、来店してくれた。
Sさんは、律儀にも試合の翌日に来店してくれたけれど、私の予約が埋まっていたため、少しだけ話をして帰られた。
まずは、不利な状況の中、勝利した事を祝福した。
「エレジーさんが来てくれた事、すごい嬉しかった~。」
「もぅ~Sさん、取り巻きがイカツ過ぎですよ~。」
なんて軽口を言いながら笑っていた。
私は、Sさんにどうしても伝えたかった事があった。
生意気にも、試合を見た上で、気になった点を指摘させてもらった。
「Sさんも、私の事を元ボクサーっていうだけで、どんだけお前が強かってんって、思ってると思うんですよ。」
Sさんは首を振って、否定してくれた。
「なんかSさんが不利な状況の中で、鮮やかにKOで勝ったのを見て、自分の中で忘れていた熱いものが込み上げてきたんです。」
Sさんは真剣な顔で私の話を聞いてくれていた。
「3週間。」
私はずっと考えていた事を話した。
「3週間で体作ってきますんで、私とスパーしましょう!」
「・・・わかりました!やりましょう!」
Sさんは一瞬、驚いた顔をしたけど、了承してくれた。
蹴りに対応できずに、無様にブっ倒されるかもしれない。
それでも、私は自分の体をもって、格闘技人生をスタートさせたSさんに伝えたい事があった。
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