第2章 地下格闘家Sさん

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そして、Sさんは後日、来店してくれた。 Sさんは、律儀にも試合の翌日に来店してくれたけれど、私の予約が埋まっていたため、少しだけ話をして帰られた。 まずは、不利な状況の中、勝利した事を祝福した。 「エレジーさんが来てくれた事、すごい嬉しかった~。」 「もぅ~Sさん、取り巻きがイカツ過ぎですよ~。」 なんて軽口を言いながら笑っていた。 私は、Sさんにどうしても伝えたかった事があった。 生意気にも、試合を見た上で、気になった点を指摘させてもらった。 「Sさんも、私の事を元ボクサーっていうだけで、どんだけお前が強かってんって、思ってると思うんですよ。」 Sさんは首を振って、否定してくれた。 「なんかSさんが不利な状況の中で、鮮やかにKOで勝ったのを見て、自分の中で忘れていた熱いものが込み上げてきたんです。」 Sさんは真剣な顔で私の話を聞いてくれていた。 「3週間。」 私はずっと考えていた事を話した。 「3週間で体作ってきますんで、私とスパーしましょう!」 「・・・わかりました!やりましょう!」 Sさんは一瞬、驚いた顔をしたけど、了承してくれた。 蹴りに対応できずに、無様にブっ倒されるかもしれない。 それでも、私は自分の体をもって、格闘技人生をスタートさせたSさんに伝えたい事があった。
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