第2章 地下格闘家Sさん

7/12
前へ
/26ページ
次へ
Sさんの試合を見ていて、気になった場面があった。 しかし、これは実際に自分の闘い方を通してでないと伝わらないと思った。 口で言うだけでは、「元プロかなんか知らんけど、お前はどやねん!」って、思われると感じたからだ。 最初は3週間後という話だったけれど、Sさんの肋骨の具合が芳しくなかった。 なので、どうせやるなら完全な状態でやりたかったので、この日になった。 私の闘う姿を見て、何か感じてくれたらと息子も連れて行った。 体育館みたいな作りのワンフロアを借りて、週に1度、元プロキックボクサー2人の指導で練習していた。 「あーあのボクサーの方ですか!」 私が挨拶に行くと、代表者だと思われる方が、にこやかに挨拶してくれた。 Sさんが、私との経緯を話していたらしい。 この方は、本場タイのムエタイのレフリーの資格も有している方だった。 フロアには、10人程が集まっていた。 Sさんの甥っ子の小学6年生の女の子と中学1年の男の子、面構えのいい若者数人、主婦っぽい女性など様々だった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加