4人が本棚に入れています
本棚に追加
皆、裸足で練習するようだった。
けれど、私はリングシューズでないと本来の動きができないと思い、イキっていると思われるかもしれないけれど、リングシューズを履いた。
しかし、下の床との相性が悪いのかツルツル滑った。
なので、またリングシューズを脱ぎ、結局、裸足になった。
回りの人は、きっと「どないやねん!」と、突っ込んだことだろう。
「エレジーさん、パンツでイイですよ。」
リングシューズを脱いで、裸足で動いたら、トレパンの裾が長くて、動きにくそうにしていた私に、Sさんが言ってくれた。
少し抵抗があったけれど、結局、パンツ一丁になった。
そして、ミット打ちが始まった。
「次、エレジーさん行ってください。」
ミット打ちが終わったSさんが言った。
多分、皆、元プロボクサーの私がどんな動きをするのか注目していただろう。
こうやって、拳を握って動くのは何年振りだろうか?
何年前かさえわからないくらい久し振りだった。
最初は、ミットを持つトレーナーの指示通りに打ち込めていた。
「やっぱり速いな。」
回りの人間の声が耳に入る。
しかし、しばらくすると、トレーナーの指示からワンテンポ遅れてじゃないと反応できなくなった。
早々とガス欠になってしまった。
(ああ・・・また、この場所に戻ってきたか・・・)
昔の苦しかった、あの頃の記憶が甦る。
最初のコメントを投稿しよう!