第2章 地下格闘家Sさん

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Sさんは14オンス、私は16オンスのグローブ。 そして、Sさんはヘッドギアを着けて、私はナシ。 ノーファールカップはお互いナシ。 後に、これが後悔する事に・・・。 「はい、いきま~す!」 ゴングはないので、ストップウォッチで時間を計っていた。 久しぶりの実戦。 不安がないといえばウソになる。 でも、現役の頃から、アントニオ猪木じゃないけど、いつ何時誰の挑戦でもうける!みたいな環境で生きてきた。 「今日、お前とお前、3Rな!」 ジムに行くと、有無を言わせず闘わなければならなかった。 そんな世界で生きてきたせいか、モードが切り替わると、すぐに戦闘モードになった。 Sさんの戦闘能力を見る為に、ジャブを数発打ってみた。 やはり、喧嘩慣れしているせいか、反応は中々のものだった。 私はどんな相手だろうと、頭を下げて、インファイトするしか出来ないボクサーだった。 蹴りに対応できるか一抹の不安はあったものの、染み付いたスタイルは変えようがなかった。 Sさんは、対ボクサーのセオリー通りローキックを多用してきた。 私も最初は、ステップバックしてよけていた。
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