第2章 地下格闘家Sさん

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でも、ローの度にステップバックしていたのでは、攻撃できなかった。 私の持ち味といえば、コンビネーションのスピード、とてつもないパンチ力・・・なんてあるわけなかった。 あるのは、いくら打たれても下がらず前に向かうファイトスタイル。 タフネスだけは自信があった。 だから、負けた事はあるけれども、KO負けはもちろん、ダウンすらした事なかった。 そのせいか、『肉を切らせて骨を断つ』じゃないけれど、避けるのが面倒臭くなり、わざと打たせている事もあった。 ローキックも、その悪い癖が出てきて、避けずにインファイトでパンチをだしていた。 そして、先程の後悔する事となる時がやってきた。 Sさんが出したインローキック。 ノーファウルカップを着けてなかったせいなのか、私の玉金が伸びすぎていたのかわからないけれど、玉金の端っこにカスってしまった。 これが痛いの痛くないのって、まるで、鉛玉を撃ち込まれたかの様なダメージを負った。 「ちょ、ちょ、タンマ!」 なんて言えるわけもなく、平然とした顔をしてやり過ごした。
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