17人が本棚に入れています
本棚に追加
「ゲホッ!!ゲホゲホッ!!」
「大丈夫ですか?」
「はい・・・パワーだけでなく、瞬発力も上がるのを忘れてました・・・一輪さんも大丈夫ですか?凄い勢いで投げ飛ばされたんですが・・・」
「雲山をクッションにしたので大丈夫ですよ。しかし、流石は聖です。一撃一撃が鬼の拳に匹敵する破壊力に隙のない立ち回り。“水鏡”は一点に集中する打撃には弱いので、接近戦とは相性が悪いです・・・」
「サイキックの効果は一定時間で切れるそうですが・・・それまで聖さんを足止めするのは容易ではありませんね・・・」
「フラン!!一輪!!大丈夫か!?」
「他人の心配よりも自分の心配をしなさい。あなたの相手は私でしょう?妖術、弐の型、“豪風”。」
ブオオオォォォッ!!
影アリスはそう言いながら、“豪風”を夜見に向けて、放つ。
「え!?なんでおまえが妖術を!?」
「話すまでもないわ。そのまま細切れにしてあげる!!」
「妖術、“水鏡”!!」
パァァァ
影アリスが放ってきた“豪風”を夜見は“水鏡”で防ぐ。
(この妖術、幻覚なんかじゃない。でも、サイキックと妖術を同時に使える奴なんて・・・ッ!?)
ーーー半妖とは普通の妖怪と同じように妖術を使い、人間と同じ特徴を持つ者のことを言います。中にはごく稀にですが、この世界の人間が使う“力”・・・サイキックも扱うことができる者もいるそうですーーー
この時、夜見は以前、聖から聞いた話を思い出す。
「そうか・・・おまえも私と同じ『半妖』か。姿が『影の国』の住人と同じだから、妖怪の気配がするのはもしかしたら、私の気のせいかと思っていたが・・・」
「・・・私は妖怪と『影の国』の住人の間に産まれたのよ。容姿が『影の国』の住人と同じなのはそのせいね・・・親は私が産まれて間もなく亡くなったわ。『忌み子』として殺そうとした国の連中から私を庇ってね・・・私はこの世界が嫌い・・・存在するだけで全てを否定するこの世界が・・・だから、私が塗り替えなきゃならないのよ!!『ジャック』の“力”でこの国も、世界も、『理』も!!全部全部全部全部・・・ッ!!私の創造の邪魔は誰にもさせない!!それが例え、同じ半妖であるあなただとしても!!!」
「・・・」
最初のコメントを投稿しよう!