両片思いな………

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「俺みたいな子、かぁ…………」 自分の部屋にあるベッドに寝転がり、頬が緩むのをどうにか堪える。 「……………んふふ」 俺の事を言っている訳じゃないと分かってはいるが、ニヤけてしまう。 「明日、相馬に言ってみよーっと。」 自分しかいない部屋にその声が木霊し、空間に溶けた。 「……………明日が楽しみ。」 翌日……………… 「寝坊したッ!」 昨夜興奮していたせいか、なかなか寝付けずにいた俺は 生まれて初めて遅刻しそうになっていた。 テーブルに置いてあった自分の弁当を取り 行ってきます。も言わず家を飛び出す。 ここで遅刻なんてしたら皆勤賞が取れなくなってしまう。 「皆勤賞!取るんだっ!」 京にーちゃんが小、中、高、と皆勤賞を取っていたと聞き 京にーちゃんに見てもらいたい、褒めてもらいたい。 そんな気持ちで皆勤賞を取る!と宣言した俺。 ここで遅刻なんてしたら、口だけ坊主という印象を持たれてしまう それだけは、勘弁願いたい。 必死に走り、内履きも履かずに廊下を駆ける。 自分の教室が見えた時、ドアが開いていたから オワタ。と思った刹那、後ろから 「赤根、靴くらい履かんか。」 と熊谷先生の声がした。 ギリギリセーフ!! 「すみませんっ! 教室入ったら履きますんで!」 そう言って、教室に入ると 「ミサキ、遅刻寸前とか珍しいな。」 と相馬が声をかけた。 「あ、うん。 ハァー、ハァー……… 昨日、ハァー、寝れなくて…………ハァー」 息が整わず文面にすると変態みたいになってしまっているだろうが 返事をすると 「あ、なに?興奮するようなことでもあったの?」 とニヤニヤしながら訊ねてきた。 「なんだよ、やましいことじゃないぞ。」 じろ、と相馬を睨むと 「残念。あ、昼休みな。」 と相馬は残念そうに、自分の席に着いた。
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