両片思いな………

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昼休み 「お前さ、先生の話聞いてなかっただろ。」 だし巻き卵を半分に割り、いざ、口へ……… と口を開けた時、相馬にそう問われた。 「ふぇ?なんれ?」 もぐもぐと卵を噛みながら、相馬に問えば 「花が飛んでた」 と真顔で言われた。 花が飛ぶって、「乙女チックだね」。 「うるせ、お前よりは乙女なことしてねぇよ。」 「ど、読心っ!」 「いや、お前喋ってたから」 おっと、うっかりうっかり。 ぱし、と口を覆えば 「お前ら、ほんと惜しいよな。」 と唐揚げ(コンビニ弁当)を頬張りながら相馬が言った。 「? 何がぁ?」 ひじきをつついていると 「そろそろ素直になったらどうなんだよ。」 と呆れたような声音で、いや、もう呆れられているか。 呆れた。と言いたげに相馬はため息を吐いた。 「不幸になるんだってさ。それ。」 「……………いいよな、お気楽で。」 「………………………表出ろやゴルァ」 カタン、と箸を置いて 相馬の胸ぐらを掴めば、顔面蒼白な相馬がいやいや、と首を振った。 「誰がお気楽だ。極楽トンボ。」 ミートボールを1つ、箸でさして口に入れると 「刺し箸は良くねえぞ。」 と相馬がミートボールを爪楊枝(割り箸についてくる)で刺した。 「ちょっと、人の弁当食わないでくれる?」 「いいじゃん、ちょっとくらい。」 「相馬のちょっとはちょっとじゃないから!」 プンプン、と頬をふくらませると いつの間にやらおかずがひじきのみとなっていた。 「俺のミートボールっ!」 大事に食べようと思ってたのに! 「ごっそうさん。」 ペロリ、と舌なめずりをしたあと 爪楊枝で歯の掃除?をしている相馬はすごく残念だ。 おっさん要素がなければ女子にモテるだろうに 「ミサキ、ひじき残してんぞ。」 「いいもん、ひじきの後に 最後のミートボール食べるつもりだったのに。」 ふい、とそっぽを向けば 「あ、アイス奢ってやるから!」 と相馬が頭を下げた。 「じゃ、ハーゲンワッツおごれ。」
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