両片思いな………

11/17
前へ
/32ページ
次へ
「んふふふふ」 放課後、相馬はコンビニでハーゲンワッツを買ってくれた。 味はアイスの中で一番好きなバニラ味。 「うまぁー」 ほぅ、と息を吐くと 「俺もそれにしたら良かったかな。」 とチョコブラウニー味を買った相馬が俺のアイスをのぞき込んだ。 「えー、お前 チョコの気分。 とか言ってそれ買ったんじゃん。」 あげないよ!とアイスを相馬から遠ざけると 「ミサキ?」 と名前を呼ばれた。 ひょ、と頭を持ち上げれば 「京にーちゃん……………」 京にーちゃんが、そこに立っていた。 「何してんのお前。」 「学校終わりのおやつタイム。」 「夕飯はいらなくなるぞ。」 「にーちゃんは俺の母親かよ。」 「あ、この人が京さん?」 会話を黙って聞いていた相馬がひょっ、と顔を覗かせた。 「ミサキの友達?」 「あ、えと 俺、相馬って言います! ミサキの友達です!」 にへ、と笑う相馬を見て京にーちゃんの顔が、ほんの一瞬だけ………… 曇ったように見えた。 「そうなんだ、話は聞いてるよ。 ミサキのこと、よろしくね。」 「京にーちゃんはなんでコンビニに?」 気になっていたことを問えば、 「ああ、飲み物買いに来たんだよ。 自販機に飲みたいのがなかったから」 「ふぅーん?」 またコーヒーでも買うのか。 と溶けかけのアイスに木のスプーンを突き刺せば、 「アイスうまそー」 と京にーちゃんが呟いた。 「食べる?はい、」 スプーンでアイスを1口掬って京にーちゃんの口元に手を伸ばせば 京にーちゃんがそれを口に入れた。 「京さんって、幼馴染みなんだろ? 恋人みたい。」 ニヤニヤと笑う相馬の一言で、 我に帰る。 「ごっ、ごめん! なんかつい、ノリでっ!」 「ああ、いや こっちこそ悪い!」 京にーちゃんはそう言うとさっさとコンビニの中へと入っていった。 うわ、恥ずかしい。 恋人みたいなことって…………… 「「は、恥ずかしい…………………」」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加