両片思いな………

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「ま、またな。」 アイスを食べ終え、相馬に手を振ると 「あ、ミサキ! 当たって砕けろ!」 と相馬がgoodサインをした。 くくくく砕けろ?! 「俺にフラれろって言いたいのかそれ!」 相馬に怒鳴ると 「あわよくば?」 と一点の曇もない目で言われた。 いい笑顔してやがるぞこいつ……… ぐぬぬ…………、と握り拳を作りそのまま家に帰る。 「ただいま。」 「ああ、おかえりなさい。 夕飯はオムライスよ。」 キッチンから母さんの声がした。 「また?」 ここの所、オムライスばかり食べている気がする。 そろそろ飽きてきたんだけどなぁ………… 「卵が安くて買いすぎたって、この前言ったわよねぇ?」 「だからって、煮玉子とか燻玉でもいいじゃん。」 「お父さん受けしないのよ。」 母さんの困ったような声を聞き流し、自室に向かう。 「…………………………。」 コンビニでのことを思い出すと、顔が熱くなっていっていることに気がついた。 「……………………恥ずか死ぬ。」 ぱっ、と顔を覆えば 「ミサキー!チャッチャと着替えなさい!」 と母さんの声が聞こえた。 「………………明日、いや、でも 男が好きなわけ、無いよな。」 タンスから服とズボンを取り出し、もそもそと着替える。 「………………今は、まだいいや。 嫌われたくなんてないし。」 だから、このまま…………………… この思いは、胸の中に秘めておこう。
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