両片思いな………

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一方で、京は…………… 「…………あ、あと少しで あと少しで終わる……………………」 俺は今、会社のパソコンと向き合っていた。 自分の不手際で、仕事が残ってしまい残業していたのだ。 しかし、部屋の明るさなんぞ関係なしに 睡魔と言うのは、襲ってくるようで 一瞬だけ、船をこいだ。 かくんっ、と首が下に落ち、慌ててパソコンに向き直る。 「……………いかんいかん、たるんでるな。」 ぐしぐし、と俺は目をこするとパソコンの画面を見る。 「……………眠い。」 くぁ、と小さく欠伸をすると 「………………そういや、コンビニで」 とブラックミントガムとブラックコーヒーを取り出した。 コンビニといえば、さっき……………… と、コンビニで見た光景を思い出す。 仲睦まじく、戯れるミサキとミサキの友達だろう男。 少しだけ、胸がむかむかした。 しらない顔が、増えていた。 小さい頃は 「京にーちゃん!」 って言って、俺のあとをアヒルの子のように付いてきたし 俺が小、中、高で皆勤賞をとった。と言えば 「お、俺だって皆勤賞とるからっ!」 と声高らかに宣言した。 しかし、ミサキだって何時までも子供ではいられないのだろう。 成長して、親離れして…………… 綺麗な嫁をもらって、幸せな家庭を築くのだろう 「………………男に生まれなかったら いや、仕事だ。」 ぺしぺし、と頬を2、3度ほど叩き ブラックコーヒーを一気飲みする。 目も幾分か冴えたところで、残した仕事を片付ける。 この思いは、そのまま墓場にでも持っていこう。 ミサキの幸せをまず、一番に……… 考えなければいけないからな。
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