両片思いな………

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翌日 俺は、だるい身体を起こした。 休日なのに、6時に目覚めてしまうとは……… 俺、真面目だよなぁ。 「……………んんんっ」 のび、と身体を伸ばす。 「………………母さん、ご飯は?」 のそのそとリビングに行くと テーブルの上には ≪パートなので、お昼は好きなのかって食べてね。≫ と言う置き書きと、10000円札………… そして、燻玉が二つ、置いてあった。 「…………そういや、最近またパート始めたとか言ってたな。」 もそ、と燻玉を口に入れる。 「……………燻玉って、こんな味だっけ?」 久しぶりに1人で食べたからか、美味しいと感じない。 「……………京にーちゃん、いるかな。」 家の鍵を取り、玄関に向かう。 どうせ隣の家だし 寝巻きでいいだろう 寝巻きと言っても 中学の頃のジャージ(未だに入るという奇跡) ガチャガチャ、と鍵をかけ 隣の家へと歩く。 ピンポーン…………… 小さなチャイム音が、響いた。 刹那、ドタドタ。と足音が聞こえ始めた。 「はい?」 機嫌の悪い、京にーちゃんが顔を覗かせる。 「……………ミサキ?」 「遊びに来た。」 と片手を上げると 「構えないけど上がれば?」 と京にーちゃんに入るよう促された。 「おじゃましまーす」 てこてこ、と中に入ると 「おばさん、パートなの?」 と京にーちゃんに問われた。 「うん、よく知ってるね。」 「ゴミ捨ての時に聞いたからな。」 へ、へぇー……… 母さんおしゃべりだなぁ。 「…………野菜ジュース、飲むだろ?」 「あ、えとね。カフェオレがいい。」 京にーちゃんと一緒にコーヒーを飲んでみたい。 と思い、カフェオレにしてくれ。と頼めば 「めっずらし、俺の部屋行ってな。 今作ってやっから。」 京にーちゃんは少しだけ、嬉しそうに笑った。
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