両片思いな………

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「…………とぅっ!」 俺は、京にーちゃんの部屋に入るといつも 京にーちゃんのベッドに乗る。 ばふんっ!と身体が布団に沈む。 「ふぁぁ……… 京にーちゃんの匂い、匂いだァ…………」 落ち着くその匂いに、顔をグリグリとこすりつける。 「……………京にーちゃんって、俺のことどう思ってんだろ。 良くて可愛い弟とか、そこらかな。」 布団にしがみつき、ポツリ、と零す。 「……………そんなの、嫌だ。」 俺、京にーちゃんの一番になりたいよ。 わがままな思いは日に日に強くなっていく。 「……………京にーちゃんの事、好きだけど どう伝えたらいいんだろ。 付き合って、なんて……………… 気持ち悪く思うだけだろうし」 左腕で両目を覆えば、ガチャリ、と部屋のドアが開いた。 「ミサキ、カフェオレ出来た………って また人のベッド占領して」 一瞬、さっきの台詞……… 聞かれてたかと思ったけれど 今の京にーちゃんの様子じゃ、聞こえていないようだ。 良かった良かった。と、安心するも………… 本当は聞こえていて、あまりの気持ち悪さに聞いてないふりしてるんじゃ? 何て、良くないことを考える。 「う、ゔぇぇぇぇ………」 どんどん不安になり、泣き出せば 「ど、どうした?! やっぱり野菜ジュース飲みたくなったか?」 と京にーちゃんが俺の手を退けた。 「け、けーにーちゃ、俺のこと……… 嫌いにならないでぇ………………」 泣きながらそう言えば 「何言ってんだよ。 嫌いになるわけないだろ。」 と頭を撫でられた。 「ってか、急にどうした。」 京にーちゃんは心配そうに俺の顔を覗いた。 「俺っ、俺っ…………… け、けいにーちゃんのこと、 好き、だった…………」 けど、言ったら嫌われると思って言えなかった。 そう打ち明けると、京にーちゃんはふい、と顔を背けた。 覚悟はしてたつもりだったけど、やっぱりそんな反応されると 辛いものがある。 「京にーちゃ、?」 「ごめん……… ミサキ」
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