お前のこと、好きなんだよ?

2/11
前へ
/32ページ
次へ
「………愚図。」 俺は、自分の執事が好きだ。 「………………申し訳ありません。」 だから、つい意地悪をする。 子供みたい、とか笑うな。 俺は、両親に愛されたことがないから。 愛し方が分からないだけだ。 「………………紅茶の1つでも上手く淹れろよ。」 違う、この紅茶、すごく美味しい。 俺好みに淹れられている。 「…………………次からは工夫します。」 「さっさと出てって。 着替えるから。」 しっしっ、と執事を追い出せば、クローゼットを開く。 中には両親が毎月送ってくるフリルやリボンのあしらわれた服。 そう、ゴスロリが掛けてあった。 その中から一番まともな服を取り、腕を通す。 「…………………なんで、こんななんだろう。」 悲しくなると俺は、唇を触ったり、口を覆うらしい。 気が付けば、無意識にやっていたのか 唇に手が伸びていた。 「………………馬鹿馬鹿しい。」 ハッ、と笑えば………… 虚しくなる。 本当は、愛されてみたいし……… 愛してみたい………… でも、そんな資格なんて…………… 俺にはきっとないから だから、アイツに愛という名の暴言を吐く。 「……………あ、あれ?」 シュッ、とリボン帯を首にかけるも 翔がいつもやってくれる、あの蝶のような結び方にはならない。 「………………あ、え?何で?」 1人、鏡の前で奮闘するも あの形にはたどり着けなかった 仕方が無いので、適当に一つに結んで部屋を出ていく。 ここには、限られた使用人しかいない。 雇う人数、人物は全て、翔に任せているからだ。 「翔ー、」 彼の名を呼べば 「うわ、随分とだらしない首元で………」 と言われた。 「うるさい、自分で出来ると思ったんだよ。」 もにょもにょと言い訳すれば、「仕方ない方だ。」とため息を吐かれた それ、不幸になるんだぞ。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加