お前のこと、好きなんだよ?

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「なんで逃げるんですか。 そんなに勉強嫌いでしたっけ?」 翔は訳が分からない。という顔をして、首をかしげた。 鈍ッ感だなお前。 なんでこの気持ちに気が付かないんだよバカタレ。 罵倒したくなったが、黙っておこう。 いや、むしろここで罵倒なんざしてみろ、自分。 絶対、翔が何も躾られない執事としてクビになってしまうだろう。 黙っておこう、この気持ちは黙って墓場まで持っていこう。 そう心に決めて、再び翔の元から逃げ出す。 「………この、糞ガキがッ。」 と翔のイラついたダミ声は放っておいて、むしろ無視して走る。 とにかく翔と一緒にいたら血反吐を吐いてしまうから 今だけは逃げさせてくれるかな。 勉強は、後でみっちりやるからさ! とにかく全力で走ったが、呆気なく、本当に呆気なく捕まった。 「な、なぁーん。」 首根っこを掴まれ、猫の真似をしてみる。 「ほんっとうに、いい加減にしてくださいよ!」 ぐわっ、と翔が怒鳴る。 「ぴっ?!」 蛇に睨まれた蛙の気分って、こうだったんだ。 ごめん、蛙。今まで馬鹿だろ。とか馬鹿にしててごめん。 と至極どうでもいいことを考えながら、部屋に連れ戻される。 「で?何故逃げたんです?」 「うっ、うっさいほっとけ! べっ、べつに、お前のことなんて………」 ぎゃあ、ぎゃあ、と喚けば翔はニコニコと笑い出す 「な、なんだよ。」 「いーえ?なんでもありませんよ。」
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