お前のこと、好きなんだよ?

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「………………終わっ、たぁぁぁ」 ふひゃぁ、と息を吐くと翔が冷たい麦茶を持ってきた。 「どうぞ。」 「ん。ありがとな。」 くぴ、とそれを一口口に入れると 「坊ちゃんは、分かりやすいですよね。」 と真顔で言われる。 茶を口に含んだ瞬間のことだったため、ぶばぁっ!とそれを吐き出してしまった。 「はっ?!わか、わかりやすっ?! べっ、別に何も無いだろ?!」 普通だろ?と口を拭いながら言うと 「お勉強のことですよ?」 と首を傾げられる。 「あ、そっちね。 そっちのことね?はいはい。」 コトン、とグラスを置いてため息をつく。 「何のお話だと思っていたんです?」 と翔が顔をずい、と近付ける。 「ひぇっ?!」 顔に熱が集まり、思わずうつむく。 「坊ちゃん?」 クイッ、と顎を持ち上げられ強制的に目を合わせられる。 「………………何のことだと、思っていたのか。 教えてくれませんか?」 怪しく光る、翔の目に心臓がキュウン、と締めつけられた。 「あ、いや…………。 っと、え………………………」 もごもごと口ごもっていると、翔はニッコリと微笑んで 「冗談ですよ。 今日はここまで。 では、夕飯の時間になりましたら呼びに来ますから寝てても結構ですよ。」 と言って、部屋を出ていった。 「ばっ、かぁやろぉぉぉぉぉぉ…………」 ズルズル、と椅子から滑り落ちる。 あいつは、どこまで本気なんだよ。 「…………あーあ、バレてんだろーな。」 こんな態度だから、余計に気づかれてるんじゃないだろうか。 「………………バレてたら、ここの窓から飛び降れる気がする。」 ちなみに、この部屋は3階にあるぞ。 落ちたらどうなるか、俺も知らない。
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